黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

ミキサーの特性(1) ~ 縦型ミキサー

縦型ミキサーの特徴

 おそらく、街中で最も目にし易いミキサーが、この縦型ミキサーではないでしょうか。

 日本のパンは、しっとりとしてソフトな食感が特徴的なのですが、そのためのよく伸びる、膜の薄いパン生地を作り上げるには、このタイプのミキサーが適していると考えています。

外観

 まず、外観から見てみましょう。

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 パン生地は脱着式のミキサーボウルで混合・混捏されます。

 ミキシングフックは、数段階で速度を変速することができ、最初に粉を入れた直後には低速でゆっくりと回します。

 粉が飛散しないようにするためです。

 ある程度、粉と水が混じり合ってきたら、中速で効率よく生地を混合します。

フックの動作

 そのミキシングフックの動きを見てみましょう。 

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 衛星軸と呼ばれます回転する軸にフックは取り付けられており、 その軸の回転方向とフックの回転方向は逆向きに設計されています。

 ちなみに衛星軸を回している軸を主軸と言います。

 つまり、主軸と衛星軸の速度が同じだった場合、仮にものすごい速度でフックが回転していたとしても、フックとボウルが最も近づくところでは、生地を円周方向に回す力は働かず、ミキサーボウルに押し付ける方向に力は働きます。

 パン生地を混合・混捏する際、経験的にはいろいろなことが分かっています。

 低速では生地ができない、生地に圧力をかけることで給水を増やすことができる等々…です。

 ミキシング作業は、一般的に製パン作業者の中でも、最も熟練した作業者が必要とされる工程のひとつです。

 この工程でパンの良し悪しの幾らかが決まってしまうからです。

このミキサーで生地を高速で捏ねると、生地は最終的に塊になり、ミキサーボウルに叩きつけられるように混捏されます。

 下のグラフを見て下さい。

 パン生地のミキシング中は、何も冷却の操作を施さないと叩きつけられた生地が摩擦熱の影響を受けて温度上昇します。

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 横軸には時間、縦軸の第1軸には温度、第2軸には動力モーターの有効電力を取りました。

 仕込みの条件としては、2kg仕込みと3kg仕込みで比較しています。

 なにか気付いた点はありますか?

 仕込み量が違っていても生地温度の上昇にはほとんど違いは見られません。

 一方、生地を捏ねる為に動いているモーターの負荷には歴然とした差が生じています。

 このような現象が起こる理由は、先に記述しました生地の捏ねられ方にあります。

 縦型ミキサーでは2kgでも3kgでもドウフックが生地を塊にして打ち付けるように捏ねる為、負荷は重量に見合った分掛かるのですが、仕込んだすべての生地が同様に捏ねられることから温度の上昇はほぼ変わらない結果となった訳です。